ニシトウネンまたはトウネン? 幼鳥 宮城県仙台市 2002年9月5日 (撮影:大西敏一) この個体は仙台市の休耕田でトウネンの小群中に混じっていたもの。まず印象的なのは嘴の形状だろう。かなり長めで先端の尖った、やや湾曲した形状で、一見するとヒメハマシギのそれを連想させる。しかしヒメハマシギに特徴的な下列肩羽の矢尻型模様が見られない等から、同種とはあまり考えられないと思う。 ではそれ以外に該当する種として考えられるのは、個体の全体的なイメージからトウネンとニシトウネンのいずれかということになるが、全体的に褪色しているのか赤褐色味が少なく幼鳥本来の羽衣の特徴が判りにくくなっていて、下記に挙げるように「どっちつかずな」印象を受ける。 ・頭部のパターンが全体的に不明瞭→トウネン的 ・雨覆・3列の羽縁が明瞭で暗色の軸班が太い→ニシトウネン的 ・マントルVの明瞭さ、初列と尾羽の関係→両種オーバーラップ範囲か ただし頭部の模様に関してはニシトウネンの典型的な羽衣が磨耗・褪色によってこのようなパターンとなる場合も考えられること、雨覆の軸班の形状を考慮すると、どちらかといえばニシトウネンの特徴が強く出ているように感じられる。 しかし脚の長さを含めた全体の体型が画像から読み取れないこと、初列風切の尾羽からの突出がニシトウネン幼鳥としては比較的少ない事から、これだけでの断定は実際のところ難しく、トウネンの個体差の可能性も捨てきれないので、ここでは種名の特定を避けることにした。 さて先述の嘴についてだが、ニシトウネン自体が平均的にトウネンよりも嘴が長い傾向はあるが、本個体はそのニシトウネンの標準的な個体よりも明らかに長くちょっと異様だ。こんなの個体差の範囲だと言ってしまえばそれまでだが、それで済ませてよいものだろうか?かといって何か別種のハイブリッドというのも早計だろうし。 (@Stint) (ご意見はメールにてお願いします。) 上:本個体 下:トウネン幼鳥 The individual and Red-necked Stint |
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