Adult breeding plumage Little Stint Calidris minuta
ヨーロッパトウネン(ニシトウネン)成鳥夏羽 兵庫県西宮市 1996年5月
Nikkor ED 600mm f5.6 x1.4tele (撮影:@stint)
夏羽の特徴が完全に現れた個体。 喉が白いのが本種の特徴だが、この時期の換羽中のトウネンには似た羽衣の個体もおり要注意。
やはり体型の違いを重視するべきだろう。
この個体は初列風切が伸長しておらず、3列からの初列の突出がほとんど無い(通常は突出することが多い。)
トウネンより丸みのある体型だが、姿勢によっては横長の体型に見える事もある。
(写真上)
本種の夏羽の特徴として中央尾羽 の軸班の両側の羽縁が赤味が強い点を挙げたい。(写真中) この特徴は、今まで観察した夏羽個体および各写真図鑑の個体で 尾羽が判るもの全てに共通してい
るのに、この点について記載した文献を今だに見た事がない。 トウネン夏羽との識別の際の必勝ポイントだと思うのだが・・・・。
また雨覆に赤褐色の羽縁が明瞭なのが判る。トウネン夏羽が雨覆に灰色の冬羽を多く残すのに対し、本種は雨覆の多くを春に換羽する傾向がある。
(追記)2013年5月
以前にシギチクラブさんより、トウネンにも中央尾羽の羽縁に赤褐色が生じる個体が、ごく稀に存在するというご指摘がありました。筆者は同様の個体を今まで確認できたことがありませんが、その後、他の方からも同様の事例の報告をいただいており、トウネンの個体差として存在している以上、中央尾羽の羽縁の赤褐色の存在のみで、トウネンとヨロネンの識別を断定することはできないという事実が明らかになりました。したがいまして、中央尾羽の羽縁の色については、「ヨロネン夏羽は大多数の個体で赤褐色が強い傾向がある」、および「トウネン夏羽の大多数の個体は赤味が乏しいが、ごく稀に赤褐色が強い個体がいる」という表現が正しく、過去記事の表現を順次訂正して参ります。誤解を招きかねない記事を放置していたことにつきましてお詫び申し上げます。なお、トウネンのどれくらいの割合で存在するのかは不明であり、繁殖地の地域個体群による差がある可能性もありますので、「ごく稀に」という表現にしておきます。(N.K.)
後側から見ると、脚の長さ、特にトウネンより脛(tibia)が長く、厚みに欠ける。(写真下)
肩羽の1枚1枚が大きく、垂れ加減になるのも本種の夏羽によくあるパターンといえる。
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