Juvenile Red-necked Stint
Calidris ruficollis

トウネン幼鳥 滋賀県草津市 2002年9月
Nikon E995 + Kowa TSN-4 (撮影:@stint)

こういうのはなかなか頭を悩ませるタイプだ。実際の観察時の印象として、嘴が長めで先端が尖りやや湾曲するところがヨーロッパトウネン風であった。また初列風切の突出が尾羽先端を僅かに超えている、脚がやや長く見える、と言った点もトウネンらしくない。
しかし全体的な体型のバランスを見ると尾羽の突出が大きく、胴体がかなり横長であること(特に脚より後の部分が長い)、脚が長く見えるが典型的なヨーロッパトウネンよりは短いこと、また雨覆・3列風切は典型的なトウネンのパターンであること、採餌行動も全くトウネンと同じといった点から、この個体はトウネンのバリエーションだと判断できる。

トウネンの嘴のやや長い個体は、何羽かが同じ場所で見つかる事も多く、今回も例外ではなく、同様のタイプの個体が他に数羽同時に観察された。また嘴の長く見える個体は、その形状の他、初列の突出、脚の長さといった点も若干ヨーロッパトウネン寄りであることが多い気がする(各要素が1個体で必ずしも揃っているわけではない)。

こうしたことから、ここからは全くの仮説だが、亜種の知られていないトウネンにおいても、実際は地域的な形態差というのがかなりあるのではないか、という考えかたが最近頭の中に常に浮かんできてしかたがない。ヨーロッパトウネンの分布域と重なる地域のトウネンは一体どんな個体なのだろうか?



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