Pectoral Sandpiper  Calidris melanotos
 アメリカウズラシギ  (Amerikauzurashigi)
   
    


L19-23cm   P

【分布】
日本全国 数少ない旅鳥。ごく稀に越冬例がある。秋の幼鳥の記録が多いが、関東地方では成鳥個体の観察例も比較的多い。春の記録は全国的に少ない。
北アメリカ大陸とユーラシア北東部の北極圏で繁殖する。ユーラシア側の個体も含めて多くは南米で越冬するが、少数がオーストラリア・ニュージーランドでも越冬するので日本で見られるのはそれらの個体群と推測される。

【環境】  
休耕田、蓮田、埋立地など。内陸の淡水域を好む傾向が特に強い。
(海岸干潟ではほとんど観察されないが、海岸近くの汽水域にはごく稀に入ることもある) 

【印象】  
・ウズラシギに体型や大きさが似ている。
・頸部から胸にかけての細かい班と腹部の無班部との境界が非常に明確で、この特徴は全ての羽衣において共通して見られる。(この部分だけを見るとヒバリシギも似ているが体型・大きさが異なる)
・雄の方が雌よりも大きい。
・ウズラシギ同様に、頭頂部に帽子を被ったような赤褐色の部分があるが、やや赤褐色味が薄く、特に成鳥では色が薄くなる。
・三列風切先端から初列風切が大きく突出する。初列風切先端は尾羽先端より若干突出する事か多い。
・上嘴・下嘴共に基部から中央付近にかけて黄色味が強い事が多い(ウズラシギは上嘴基部は暗色の事が多いが個体差はあり)。嘴先端は細く尖りウズラシギより若干長く下に湾曲する。
・脚の色は緑黄色。

(夏羽)
・雄は胸の班の密度が高く黒色味が強くなり、腹部の無班部との境界が一層強調される。雌は胸の班が雄よりも密にならず淡色に見える。
この胸の班の一つ一つの形状はくさび型または線型で、ウズラシギのV字型(<<)とは異なる。
・頭頂部はウズラシギほど赤褐色が強くない。

(冬羽)
・全体に灰色味が強くなり、胸や腹の班は薄くなる。

(幼羽)
・背面の模様はウズラシギに似るが、胸の前側で班の密度が高く腹部の無班部との境界が明瞭なので、正面から見ると簡単に識別可能(横から見るとウズラシギ幼羽と紛らしい場合があるが胸の前方の班の密度に注意する)。
・頭部の赤褐色はウズラシギ幼羽より薄い場合が多い。

【鳴き声】
キュルッ、ピュルッ

【類似種】 
※種名クリックで各種のページへリンク
 ■要注意: ■ウズラシギ(各羽衣を通じて・特に摩耗個体に注意)
 ●やや注意: ●ヒバリシギ(摩耗した個体かつ、大きさの比較ができない場合) 

【雑学】
・毎年、少数が各地で観察されるが、本州においては夏・秋期は8月前半頃に成鳥が、かなり遅れて9月後半から10月前半の時期に幼鳥の観察例が多い。また、幼羽が第1回冬羽に換羽し始める時期は遅く、11月頃までは幼羽が多く残る個体が多い。殆どが単独での渡来。
・英名のPectoral(胸筋)は特徴的なディスプレイに由来していると思われる。雄は繁殖期に胸を大きく膨らませ、飛びながら霧笛のような声で繰り返し鳴くディスプレイを行う。
・アメリカウズラシギとサルハマシギの交雑種が知られており、両種の特徴を現すため1982年に"Cox's Sandpiper" として別種記載されていた事があったが、1996年のDNA解析で交雑種だと証明された。
→<関連Link> Cox's Sandpiper (Wikipedia)

   
 アメリカウズラシギ画像集  more images

夏羽 Breeding plumage

初期 Fresh
May 2013, Aichi Pref.

摩耗個体 Worn
August 2001, Kyoto Pref.
September 1995, Gifu Pref. (photo: T.T.)


冬羽 Non-breeding plumage


 
第1回冬羽 1st-winter

January 2010, Aichi Pref.
February 2004, Okinawa Pref. (photo: Amano)


幼羽 Juvenile

September 2010, Kyoto Pref.
December 2009, Aichi Pref.
October 2003, Aichi Pref. (photo: T.T.)
October 1992, Yamagata Pref. (photo: Tagi)


 
 
  


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