Bar-tailed Godwit   Limosa lapponica
  オオソリハシシギ (Osorihashishigi)

      


L37-41cm    L. l. baueri P /   L. l. menzbieri P

【 分布 】
日本全国で旅鳥。九州の有明海では数百羽単位の大きな群れがまだ普通に見られるが、それ以外の場所では大きな群れは少ない。
日本で確認されている2亜種はアラスカ西部、シベリア東部で繁殖しオーストラリア、ニュージーランドへ渡る。
メインの中継地は中国・朝鮮半島(黄海・渤海周辺)で、数万単位の群れが見られる。

【 環境 】
海岸(干潟・砂浜)、河口干潟、河川の河口に近い中州など。
沿岸部の棲息傾向が強く、完全な淡水域ではごく稀。

【 印象 】
・チュウシャクシギより若干小さい位の大きさで、干潟では目立つ存在。
・長い嘴が上方向に湾曲している。
・足は黒色でオグロシギよりは短い。
・尾羽は白地に黒の横縞(Bar-tailed)。
・上尾筒より腰にかけて白地に黒い模様があるが、模様の入り方は亜種により異なる。
・雌雄の外見上の差が明確なことが多く、だいたい雌の方が雄よりも一回り大きく嘴が長い。

(夏羽)
・雄は頭部〜腹部が赤くなるが、雌は赤い部分が少なく頭部に班が密に生じるので、性別の区別が非常にし易い。
・肩羽、雨覆、3列風切のノッチ型の濃い軸班が明瞭。
・嘴の基部から半分位までの肉色が、雄夏羽では基部まで暗色になる傾向が強い。

(冬羽)
・雌雄共に灰色味が強くなり、背面の羽は軸班が線状に細く薄くなる。
・頭部の班が少なくなる。

(幼羽)
・全体的に黄褐色味が強い。
・肩羽、雨覆、3列風切にノッチ型の黒褐色の軸班が明瞭。

【 亜種の識別 】
日本では、アラスカで繁殖し最長でオーストラリア東部・ニュージーランドまで渡る亜種L. l. baueri (亜種オオソリハシシギ)と、ロシア北東部で繁殖し最長でオーストラリア北西部までへ渡る亜種L. l. menzbieri (亜種コシジロオオソリハシシギ)が確認されている。ヨーロッパ系の基亜種L. l. lapponica (和名なし)は日本では未記録。
(なお古い版の図鑑では和名「コシジロオオソリハシシギ」について亜種menzbier iと基亜種lapponica を混同した誤記のものがあり要注意。)
全ての羽衣において、亜種の識別は飛翔時に見える腰から背にかけてのパターンで判断することが多い。
  ・baueri ・・・上尾筒および腰から背まで横縞が密に入る
  ・menzbieri ・・・上尾筒は横縞が入るが背にかけて白地の部分が多く、白色が背中に食い込んで見える(全くの無班ではない)
  ・lapponica (未記録)・・・腰から背までが無班に近い白色。
しかしbaueriでも班の密度には個体差があり、またmenzbieri も肩羽の状態によって白色部が隠れて見えなかったりすることもあるので、識別には慎重を要する。
翼下面はbaueri が最も班が密に入り、基亜種lapponica ではほぼ無班に見える。
※オオソリハシシギの亜種の分け方は、ここでは3亜種とする説を採用しています。

  →<関連 LINK> Shore Birds In Japan/ コシジロオオソリハシシギBar-tailed Godwit / Limosa lapponica menzbieri  by Shorebirds-wadersさん

【 鳴き声 】
ケッケッケッ

【 類似種 】  ※種名クリックで各種のページへリンク
    ■要注意:
      ■オグロシギ(大きさ、体型が似ている)
      ■アメリカオグロシギ(大きさ、体型が酷似。寝ていると判別難しい)
      ■シベリアオオハシシギ(体型が似ている。成鳥・幼鳥の色合いが似ている)

【 雑学 】
・上に反った嘴は、泥の深い場所の餌を探し当てて掘り出すのに適している。大型のゴカイ類を好んで食べる。
・かつて'80年代以前は日本国内では代表的な普通種の一つだったが、各地で個体数がかなり減少しつつある。
・亜種baueri menzbieri は、発信器を装着した調査により渡りのコースが解明されつつある。各亜種の成鳥の多く は越冬地からノンストップで中継地の中国・朝鮮半島(または日本)まで渡り、しばらく滞在後、一気に各繁殖地まで移動する。アラスカまでの飛行ルートはここで90度折れ曲がる。繁殖後の成鳥は、亜種baueri のある個体は繁殖地アラスカから9日間ノンストップで越冬地ニュージーランドまで11,700kmの海上を飛び続けたことが判明し、それまで知られていた鳥類における長距離飛行記録を更新した。
  →  <参考 LINK>  USGS  /News (2007)  > USGS  /Alaska Science Center/Shorebird Research


  オオソリハシシギ画像集   more images


夏羽  Breeding plumage

< L. lapponica baueri 亜種オオソリハシシギ >
初期  Fresh
April 2007 ,Osaka Pref. (male)
May 1996 ,Hyogo Pref. (female)
April 2006 ,Osaka Pref.
    / April 2002 ,Hyogo Pref. (male)

April 2007 ,Osaka Pref.
    / April 2006 ,Osaka Pref. (female)

May 2007 ,Saga Pref. (male)

摩耗個体  Worn
September 2007 ,Osaka Pref. (female)

 < L. lapponica menzbieri 亜種コシジロオオソリハシシギ >
初期  Fresh
May 2007 ,Saga Pref. (female)


冬羽  Non-breeding plumage

< L. lapponica baueri 亜種オオソリハシシギ >
April 2002 ,Hyogo Pref. (female)


幼羽  Juvenile

< L. lapponica baueri 亜種オオソリハシシギ >
September 2002 ,Mie Pref.
September 2007 ,Osaka Pref.
October 2003 ,Mie Pref.




 < L. lapponica menzbieri 亜種コシジロオオソリハシシギ >
September 2007 ,Ishikawa Pref.


  


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