L14-16cm 　 P / (W)

【分布】
日本全国　数少ない旅鳥。稀に西日本で越冬することがある。春期の渡来は稀。秋期に幼鳥が単独または数羽で、短期間の滞在のみの事が多く、滅多に見ることができなくなっている。近年は北海道、北陸地方、伊勢湾、九州での確認例が比較的多い傾向がある。
繁殖地はロシア極東部のチェコト半島周辺に限られ、繁殖場所も海岸から数km以内のツンドラ地帯に偏る。主な越冬地はベンガル湾。
カラフトアオアシシギと共に危機的状況にある東アジア地域の種の一つ。環境省レッドリスト絶滅危惧�TA類(CR)(2006）。

【環境】　　
海岸（干潟・砂浜）、河口干潟、埋立地、水田など。　比較的、砂浜の海岸での観察例が多い。

【印象】　　
・トウネンと比較すると同大か若干大きめで、脚がやや長く、やや胴が短い体型。
・特徴的なのは黒いヘラ型の嘴で、これが見えると間違えることは無いが、先端が薄いため真横からではヘラの形状が見えにくい。嘴の基部はやや太くがっしりしている。
・嘴を背中に突っ込んで寝ていると、トウネンと区別が難しくなるので注意が必要。
・3列風切先端からの初列風切の突出はやや大きい（PP+)。静止時に初列風切先端は尾羽より少し後に出る（WP+）。
・脚の色は黒。蹼(みずかき)は無い。
・尾羽はトウネンより短い。
・砂浜・泥地を素早く歩き回りながら、特徴的な嘴を細かく動かして採餌するが、砂礫地では先端部を使ってつまみ取る動作も行う。

(夏羽）
・トウネン夏羽に似て頭部〜胸が赤褐色になる。
・完全に換羽すると胸から脇にかけて黒色班が出る。

（冬羽）
・トウネンに似た灰色の上面になる。

（幼羽）
・トウネンよりも頭頂に暗色の縦班が明瞭で、眼の後側の暗色部が大きい傾向があり、眉班が明瞭に見える。
・背に「V字模様」は見られないか、あっても細く目立たない。。
・肩羽の軸班の黒色部が大きく、羽縁とのコントラストがトウネンより明瞭な傾向。
・換羽したての幼羽は背面が褐色味が強いが、摩耗・褪色によって黒味が強くなることが多く、その場合は全体に白黒のモノトーンなミユビシギ幼鳥のような印象を受けることがある。

【鳴き声】
プリッ

【類似種】　※種名クリックで各種のページへリンク
　■要注意：　■トウネン（嘴が見えない姿勢では酷似する。また嘴に泥が付着した個体が遠距離では紛らわしい）　
　●やや注意：　●ミユビシギ（摩耗した幼羽の模様が少し似ている）　

【雑学】
・嘴のヘラ状の部分の内部は先端から溝が通っている。
・生まれたばかりの雛からヘラ状の嘴を持っている。
・昔は日本でもそんなに珍しい鳥では無かったらしく、各地で小群で現れることも少なくなかったようだが、最近の渡来数の減少や繁殖地の調査結果を受けて、環境省レッドリストも危急種(1991)→絶滅危惧�TB類(1998)→同�TA類(2006)と推移している。
・推定個体数は1970年代の4000羽前後から20数年間で2000羽前後に半減、以降さらに減少し2008年の調査で150〜320番（成鳥300〜640羽＋幼鳥）と予測されている。越冬地での状況は厳しく、バングラディシュで1980年代に最大257羽の記録があったが激減し、2008年にミャンマーで80羽ほどの越冬例があるがその後さらに減少している。減少の原因の一つは越冬地での網を使った狩猟にあるとされる。また中継地の韓国・中国の干潟の開発による消失も心配される。
・本種の保護活動として、人工繁殖プロジェクトが行われ始めている。

→＜関連Link＞
　　Spoon-billed Sandpiper 　（Youtube）
　　Spoon-billed Sandpiper - species factsheet　（Birdlife International）
　　Spoon-billed sandpiper on brink of extinction　(2007)　（Msnbc.com）
　　Spoon-billed Sandpiper - Probable Population Crash　(2000)　（Surfbirds.com）

初期　Fresh
April 198?, Osaka Pref.(photo: Onishi)

摩耗個体　Worn
September 1999, Kagoshima Pref. (photo: Tokorozaki)

December 1995, Kagoshima Pref.(photo: T.T.)
November 1992, Mie Pref.(photo: Koyama)

September 2010, Mie Pref.
September 2004, Mie Pref.
September 2004, Ibaraki Pref. (photo: Fukuda & Shimizu)]
September 2004, Ishikawa Pref. (photo: Shimizu)
September 2003, Ishikawa Pref. (photo: N.K.&T.T.)
September 2002, Chiba Pref. (photo: Shimizu)
August 2002, Ishikawa Pref. (photo: T.T.)
October 2000, Mie Pref.
September 1987, Aichi Pref. (photo: Koyama)
September 1995, Hyogo Pref.