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Dunlin Calidris alpina
ハマシギ (Hamashigi) |
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L16-22cm P / W
【分布】
日本全国で主に旅鳥または冬鳥として数多く渡来する。日本のシギ類の中では年間を通じて見る機会の多い普通種。
複数の亜種が知られ、新旧大陸の北極圏・高緯度地方で広く繁殖し、主に北半球中・低緯度地方で越冬する。
日本で越冬および春期に通過する個体群はアラスカ極地で繁殖する亜種キタアラスカハマシギarcticolaを含むことが標識調査で確認されている。
【環境】
海岸(干潟・砂浜)、河口干潟、埋立地、水田、大きな河川の中州など。沿岸部に多いが、内陸部でも越冬期に集まる場所がある。
群れを作る性質が強く、大規模な干潟ではしばしば大群で見られる。
【印象】
・トウネンよりも明らかに大きいサイズ。ミユビシギと近い大きさ。
・嘴ががっちりしていて長く、下へ少し湾曲していて先端が尖る。嘴の長さは個体差が多く、最短と最長で1.5倍程度の印象の差が生じることも普通。
・静止時に尾羽先端が初列風切先端よりも常に後に突出する。
・各羽衣を通じて、過眼線が薄く眼の後ろ側で不明瞭。そのため眼の位置がはっきりと浮いて見える。
・脚は黒。蹼(みずかき)は無い。
・採餌時は地面を嘴で激しくつつきながら頭を上げずに歩きまわる。やや水深の深い場所にもよく入っていく。
(夏羽)
・背〜肩羽が赤くなり、腹に大きな黒班ができるのが特徴的。
・完全な夏羽でも雨覆と3列風切は換羽せず、摩耗した冬羽が残っている。
・頭部は白っぽく黒い縦班が生ずる。眼と嘴の間の過眼線は殆ど無い。
(冬羽)
・頭部〜背面全体が灰色になり、腹の黒班は無くなる。
・日本での越冬個体は雨覆と3列風切に幼羽を残す第1回冬羽の割合が多い。
(幼羽)
・全体的に褐色味が強い。
・マントル・肩羽に太い軸班と赤褐色の羽縁がある(ただし第1回冬羽への換羽で失われていることも多い)。
・雨覆は灰色で軸班も細いが、淡色の羽縁が比較的はっきりしている。
・腹部に黒班が密に入るが夏羽のような大きな黒班にはならない。
【鳴き声】
ジュイー
【類似種】 ※種名クリックで各種のページへリンク
■要注意:
■サルハマシギ(冬羽、換羽中の個体)
■チシマシギ(夏羽で遠距離の場合)
●やや注意:
●ヒメハマシギ(冬羽または換羽中の夏羽で大きさ不明の場合)
●ミユビシギ(冬羽で嘴が見えない場合)
●キリアイ(逆光シルエットの場合)
【雑学】
小型シギの中では日本で最もポピュラーな種の一つ。
本州では越冬個体の渡去後、4月頃に夏羽の個体数ピークを迎える。晩夏〜秋の渡り期は成鳥・幼鳥共にあまり多くなく、初冬に入ってから冬羽の越冬群の数が増えてくる。(おそらく越冬群と春の夏羽群は別の個体群と推定される。)
ハマシギの亜種の分類には諸説がある。日本で記録される個体群は日本鳥類目録では北東ロシア亜種sakhalinaが亜種和名ハマシギとされているが、同亜種の確実な標識等による記録は知られていない。そのため実際に日本で多く見られる個体群は亜種キタアラスカハマシギarcticolaである可能性がある。
またハマシギの亜種分布と渡りには謎が多い。アラスカ極地方で繁殖する亜種キタアラスカハマシギarcticolaが日本・韓国へ渡るのに対し、アラスカ西岸の繁殖群(亜種pacifica)は主にアメリカ西海岸へ渡るため、渡り方向がアラスカ上空でクロスすることになる。
大阪府で春期におそらく亜種カムチャッカハマシギkistchinskiと思われる個体の観察例がある。同亜種は夏羽では識別が可能と思われる。
その他、亜種ハマシギsakhalinaやサハリン北部のみで繁殖する希少亜種カラフトハマシギactitesが日本を通過している可能性があるのか、等興味深いテーマが残されている。
→<関連Link>
Shore Birds In Japan/ ハマシギ7 Dunlin/Calidris alpina arcticola
Shore Birds In Japan/ ハマシギ8 Dunlin/Calidris alpina kistchinski ? by Shorebirds-wadersさん
亜種の違いだけでなく個体差も相当にあって、特に嘴の長さは短い個体と長い個体では1.5倍近い差がある場合がある。このあたりはよく観察してみると面白い。
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ハマシギ画像集 more images
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夏羽 Breeding plumage |
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初期 Fresh
May 2006, Mie Pref.
May 2001, Aichi Pref. /
May 2004, Osaka Pref.
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冬羽 Non-breeding plumage |
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Febuary 2008, Hokkaido Pref.
September 2004, Ishikawa Pref.-moulting
February 2000, Chiba Pref.
September 1994, Hyogo Pref.-moulting
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第1回冬羽 1st-winter |
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September 2004, Ishikawa Pref.
November 1997, Chiba Pref.
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幼羽 Juvenile |
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September 2010, Okayama Pref.
September 2004, Kyoto Pref.
September 1984, Aichi Pref. / September 1987
, Aichi Pref. (photo: Koyama)
Autumn -worn (photo: Tokorozaki)
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