Western Sandpiper  Calidris mauri
 ヒメハマシギ (Himehamashigi)
 
 
 


L16cm   V

【分布】
日本では稀な旅鳥。迷鳥と言ってもよく、滅多に出会えない。幼鳥単独での記録が主だが、ごく稀に成鳥の記録もある。
アラスカ西部で多数が繁殖し、アメリカ西海岸を主に通過し南米に渡る。ロシア側にもわずかに繁殖地がある。

【環境】  
トウネンの群れに混じって見つかることが多く、トウネンの棲息環境に準ずる。
過去の記録は海岸干潟、河口の中州、埋立地、水田など。

【印象】  
・トウネンと同大か若干大きめ、キリアイよりは小さい。
・体型はトウネンよりも胴の後半分が短く脚がやや長めの印象。
・典型的な個体の嘴はトウネンに比べて基部が太く、長さが明らかに長く先端がやや尖り下に曲がる。ヨーロッパトウネンより嘴基部が厚くがっちりしている。しかし嘴の長さは個体差が非常に大きく、また全般的に雄は雌よりも短い(トウネンの嘴の長い個体とさほど長さが変わらない個体もいる)。また典型的なハマシギと比較すると頭部の大きさに対する嘴の相対的な長さはやや短く見える。
・3列風切先端より初列風切先端は突出するが、トウネン・ヨーロッパトウネンよりも突出量が小さい傾向がある。また尾羽先端は初列風切先端より突出せず同位置か初列風切先端が僅かに突出する傾向がある。
・脚の色は黒。外趾側・内趾側共に小さな蹼(みずかき)があるのが特徴で、ヒレアシトウネンのそれよりはやや大きいとされるが、蹼の大きさには個体差があり個体によっては殆ど無いものもいる。
・採餌時はトウネンよりも活発でよく動き回る。

(夏羽)
・頭部・過眼線・肩羽の内側が赤褐色で、頭部から胸・脇腹にかけて白地に細かい縦班が入る。
・腹部は白い。(ハマシギ夏羽のように黒くはならない)
・雨覆はトウネン同様換羽が遅く、摩耗した灰色の冬羽を多く残す。

(冬羽)
・上面が灰色になりハマシギ冬羽に似た印象になる。

(幼羽)
・印象は全体的にトウネン幼羽に似る。
・顔の模様は眉班の幅がやや広め。
・上背のV班は無い。
・肩羽上列はトウネンの幼羽に酷似し羽縁に赤味があるが、肩羽下列は灰色の地に黒く細い軸班が羽の先端のサブターミナルバンドと交わって「碇型」または「矢印型」の模様が形成される(但し個体差があり、この模様が不明瞭だからといって本種を否定する要素にはならないし、その逆も然り)。
・雨覆の軸班と羽縁のコントラストはやや明瞭だがヨーロッパトウネンほど明確ではない。

【鳴き声】
チュッ、チリッ

【類似種】 
※種名クリックで各種のページへリンク
 ■要注意:
  ■トウネン(嘴の個体差、かつ下列肩羽の個体差で模様がオーバーラップする場合・摩耗した個体など)
  ■ヒレアシトウネン(未記録種)(個体によってはヒメハマシギと野外識別が困難になる場合があるほど全体の特徴がオーバーラップする為、欧米では両種の識別方法でよく問題になる)
 ●やや注意:
  ●ハマシギ(冬羽または夏羽へ換羽中で大きさが不明の場合)
  ●ヨーロッパトウネン[ニシトウネン](嘴の個体差かつ夏羽・幼羽の色の個体差・摩耗した個体など)
  ●キリアイ(夏羽の個体差で大きさ不明の場合)

【雑学】
日本ではかなりの珍鳥だが、アメリカでは普通種。
近年、本種は北米大陸の干潟ではバイオフィルムと呼ばれる干潟表面の微生物被膜を主食としていることが明らかになった。(これを主食にする脊椎動物はこれまでムツゴロウ等の魚類しか知られていなかった。)
→<関連Link>
 「干潟の泥表面の微生物膜がシギの渡りを支える」 (桑江,2008) (港湾空港技術研究所)

   
 ヒメハマシギ画像集  more images

夏羽 Breeding plumage

初期 Fresh
May 2003, Shizuoka Pref.

 

幼羽 Juvenile

September 2010, Ishikawa Pref.
September 2009, Chiba Pref.
September 1987, Aichi Pref.(photo: Koyama)


 
 
  


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